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豪華な面子でも「オシャレ過ぎない」花澤香菜のアルバム

claire

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声優として押しも押されもせぬ人気を誇る花澤香菜の1stフルアルバム。彼女は去年から個人名義での音楽活動をスタートさせていて、すでにシングルを4枚発表(それらは本アルバムにも収録)している。


一曲目の「青い鳥」(名曲!)で活躍するストリングスや、「初恋ノオト」のホーン隊などを聴いて「あっ」と思えるかどうかで、あなたの渋谷系度が測れるというもの。北川勝利がトータルプロデュースを担当したほか、カジヒデキ、沖井礼二、ミトなどが集結しただけあって、さすがにツワモノ揃いといった感じの楽曲が並んでいる。

参加している面子が面子だけに、例えばナタリーでは「“渋谷系”ポップスを継承する傑作アルバム完成」と謳われていたが、もちろん典型的な“渋谷系”サウンドになっているわけでもないのがポイント。90年代〜00年代を通過した人たちが、その経験を踏まえて作ったという意味での90年代らしさはあるものの、単純に90年代をそのまま再現したような音というわけではない(カジヒデキだけは、自分に求められているものをまったく完璧にこなしていてちょっと別だが)。

また、花澤香菜の声自体に相当な表現力があるので、しっかり声を出しても、あるいはウィスパーボイス気味にしても、渋谷系を自称するミュージシャンなどにありがちな軽薄感がない。作曲陣もそのことは強く意識しているようで、彼女の声が活きるようなアレンジに尽力しており、いわゆる最近の"アニソン"が好きという人でも違和感なく聴けると思う。


やや強引にまとめると、すごく陳腐な言い方になってしまうけれども、このアルバムの感想、ならびに作品としての肝は「オシャレ過ぎない」というところかもしれない。変に流行に乗って先鋭的にしているわけでもないし、過度に懐古的になっているわけでもない。そういう意味で、鼻につくサブカルっぽさがない。その上で楽曲のクオリティが粒ぞろいなので、とても真っ当で良質なJ-POP(けなしているわけじゃないですよ、念のため)として素直に楽しめる。

ただ逆に言うと、その辺りに野暮ったさを覚える人もいるかもしれなくて、例えばわざと時代遅れなテクノポップ感を残したような雰囲気の「melody」あたりを、いいアクセントになると感じるか、ちょっとキャラソンっぽいと感じるかは好みが分かれそう。その点では、個人的にはシングルの「星空☆ディスティネーション」や「Silent Snow」よりも、いかにもアルバム曲という感じの「スタッカート」や「おやすみ、また明日」などに惹かれた面もあり。