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The Lilac Time / The Lilac Time


The Lilac Time / The Lilac Time
何といっても、冒頭の「Black Velvet」。雨の日の休日、することもなく窓から外を見ているような、陰りと叙情に満ちた世界。イントロのギターの中からスティーヴン・ダフィの歌声が聴こえてきた時、ささやかで小さいけれど、心に確かな感動の光が灯る。以後も全編を通じて、作曲者が愛したであろう、フォークやトラッド、カントリーなどの素直な影響をいっぱいに浴びた、素朴かつ豊かな歌心が胸を打つ。このアルバムを聴くといつでも、霧に烟る英国の田園地帯の風景が浮かぶ。「牧歌的」という言葉で形容される音楽は、例えばこういうものに違いない。


今日、なんとなく思い出したのが、小西康陽氏が
「音楽を雰囲気で聴かないで、何で聴くんだ」と言ったという話。
これは、けだし名言だと思います。
でも、「音楽を楽しむのに知識なんか必要ないんだよ」
「音楽を聴くのに理屈はいらない」という意見を見ると、
「知識や理屈を必要とする狭い人たちよりも、
自分たちの方がリベラルに音楽に接しているもんね」
というセンス自慢(論理武装)を逆説的に強く感じてしまったりもして。
その辺り、なかなか難しい。
あと、Amazonのレビューなどでたまに見る
「チャートを気にした商業的な音楽が氾濫する中……(でもこの音楽は違う)」
みたいな書き方は、ちょっと乱暴に使われている時があるように思います。
チャートを気にした商業的な音楽でもクリエイティブなものは
それこそポップ・ミュージックの歴史にやまほどあるわけで。
あと、チャートを気にしない、インディペンデントな音楽が
全て素晴らしいかというとそれも違うわけで。
まあ、もう、そういうメジャーとインディー、というような垣根が
無くなっているのが現在なのかもしれませんが。